『佛説大安般守意經』における「本文」と「註」の解明(三)──「五力」から「四解依」まで
Distinguishing Text from Annotations in “Foshou Da Anban Shouyi Jing T602″ (Part Three)
釋果暉

  1999 年に日本.大阪府.天野山にて、いわゆる「新発見の安世高訳『安般守意経』金剛寺本」(=『新出安般経』)が発見されてから10 年が経ち、その内容そして大正蔵T602『佛說大安般守意經』とのかかわりがようやく解明してきた。
  筆者は、第3期および第5期の『法鼓仏学学報』において『佛說大安般守意經』『新出安般経』という両経における「安般の六事」を中核として、順番に「数」「随」「止」「観」「還」、そして「浄」の「四意止」「四意断」「四神足」「五根」のそれぞれの段落の内容を比較し、そして「本文」と「註」との箇所を判別した。つまり、『佛說大安般守意經』に対して『新出安般経』と対応する文、用語、あるいは意味の同じ箇所を原始的な「本文」と定義し、それらの「本文」に対する解釈を「註」と見分ける。
  本論では「浄」の最後の部分『三十七品経』における「五力」、「七覚意(七菩提分)」、「八行(八正道)」、そして「止観」「四諦」「四解依(四無碍辯)」の部分を総括する。このような比較をすることによって『佛說大安般守意經』中の「本文」と「註」との箇所を分別する。
  研究の結果、『佛說大安般守意經』『新出安般経』と緊密的な関わりを持つのが、『修行道地経』の「数息品」および『陰持入経』である。例えば、『佛說大安般守意經』は、『新出安般経』と「数息品」とともに「八正道」についての特殊的な定義をもつ。このような定義は、大変まれである。さらに両経とも「日出作四事」という比喩を有するが、「数息品」中では現れていない。しかしながら、『陰持入経』中では見出せる。という事は、この比喩は『陰持入経』から引用し編成したものである。最後に『新出安般経』中では、「四依解(四無碍辯)」の完全な段落を持つが、『佛說大安般守意經』中では、断片的なものになっている。しかし厳密に研究することによって四無碍辯のことを解釈している事と判明した。